うちの畑の仲間たち その1 ハサミムシ君

有機農業の畑で活躍するハサミムシ君

有機農業の畑で活躍するハサミムシ君


ここ数週間の間によく見かけるうちの農場の仲間にハサミムシ君がいる。

よく会うハサミムシ君は、身長2〜3センチくらいで下半身がややでっぷりし、重厚でつやのある鎧のようなものを身にまとっている。最大の特徴はお尻のあたりにハの字型のごつい武具ハサミを備えているところ。外観は野武士といった感じでいかにも強そうだ。

が、しかし、ハサミムシ君は意外と臆病なようで、草取りなんかをしていて見かけるとそそくさと逃げて行ってしまう。そりゃあ、ハサミムシからしたら人間は巨大すぎて立ち向かう術など放棄せざるを得ないのかもしれないけれど、その風貌と逃げる様が不釣り合いでおもしろい。

よく見かける仲間の割に、好きな食べ物は何かとか、どういう生活をしているのかとか、知らなかったので「ハサミムシ」でネット検索してみて愕然とした。トップに表示されるWikipediaの次の項目からは、「害虫」という文字が一緒にくっついてまわる。ハサミムシ君が人間社会にいかに理解されてこなかったかがよくわかる。しかも駆除方法まで紹介されている。未知のものを遠ざける人間の性が、ハサミムシ君の人生にも大きな影響を与えてるわけか‥。

畑ではハサミムシ君は一生懸命働いているのに、邪魔者扱いされるとは、なんてことだ! 仕事ばかりしている会社人間の給料を減らし、嫌がらせの左遷をして最後にはリストラするようなものだ。血も涙もないじゃないか!

そもそも、ハサミムシ君がどんな仕事を畑でしているのか、知られていないのが問題なのだろう。これではいけない。ハサミムシ君の名誉を回復せねば! ということで、一人で静かに立ち上がる。

まず、全体像。

ハサミムシ君のお友達は日本には20種類くらいいるらしい。日本各地にお友達がいるわけだ。

好きな場所は、土の上か、少しばかり潜ったところ。石や落ち葉の下なんかによくいる。夜遊びが好きで暗くなると出歩くものが多いけど、昼間に働く堅実派もいるらしい。

食べ物の好き嫌いはなく、なんでもよく食べる健康的な雑食性だけど、どちらかというとお肉が好きなようで、蝶や蛾の幼虫、ダンゴムシなどがお好みらしいけれど、草食系のものとか、コウモリの糞が好きな偏食家もいるという。

畑でよく見かけるのは、きっと前者の肉食系なのだろう。つまり、ハサミムシ君は、畑の野菜を食べ放題レストランのサラダバーとでも勘違いしているんじゃないかとしか思えない、けしからん蛾の幼虫たちを懲らしめてくれている頼もしいやつなのだ。君たち、食い逃げはいけないよ! 金を払えないってんなら、体で払ってもらおうか!ってことで、がぶっといくのか‥。

それにしても、食い逃げの罰が死とは、これまた手厳しい。生きるか死ぬかの真剣勝負の世界がここにあるわけだ。

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