異常気象の危機を乗り越える自家採種(種採り)

奥武蔵地這キュウリ、沖縄あばしゴーヤ、旭大和スイカの種をとる

左から種採り用のキュウリ、普通のキュウリ、種採り用のニガウリ。

異常な高温、少雨かと思いきや突然の豪雨、今までと違う動きをする台風…。「農業は天候に左右されるから厳しい」とはよく言われてきたことだけれど、異常気象が常態化するこの現状では、もはや厳しいではすまなくなってきている気がする。この先、農業で生きていけるのかどうか、かなり深刻な境地に立たされているのではないだろうかと、恐ろしくなってくる。

強烈な日射で、暑さを好むはずのピーマンは実が焼け(部分的に枯れたようになる)、熱帯モンスーン気候生まれの空芯菜も葉が耐えきれずにところどころが枯れる。

カンボジアに旅立っている友人から
「プノンペン(首都)は29度、日本よりかなり涼しいよ」
とのメールが届く。作物を焦がすこの過剰な日本の暑さは一体なんなんだろう??

強烈な日差しから作物を守るために、例えば遮光ネットを使うという技術がある。でも、異常気象が普通になりつつある昨今、これはなんか応急処置というか、なにも根本的な解決にはならない気がする。遮光ネットの性能を超える異常気象が近いうち、きっと訪れるだろう。

もっと、生き物の真髄に眠る生きる力を引き出すような技術でなければ、この危機を乗り越えることはできないのではないかと思えてならない。

ということで、前から少しずつ実践してきた種取りを本格的に始めることにした。この異常気象をなんとか乗り越えて生み出された種を毎年、自分の農場で採り続けることで、生きる力のみなぎるタフな品種を生み出すことができるはずだ。何しろ、農業には「品種に勝る技術なし」という言葉があるほどなのだ。

それに、自分で作物の種をとって、育てていくというのは、実に有機農業らしい。

種苗会社が異なる品種を掛け合わせてつくる交配種という品種は、さまざまなメリットがあり、耐寒性や耐暑性の強いものもあるけれど、種苗会社頼りだと、その品種が商品として放棄された場合(生産中止になった場合)、対応が難しくなる。異常気象とは直接関係ないけれど、気に入っていた品種が生産中止になって困ってしまったという話は何度か耳にしたことがある。

さっそく、今栽培中の胡瓜(きゅうり)と苦瓜(にがうり)、西瓜(すいか)の種をとることにした。胡瓜は、奥武蔵地這胡瓜という昔ながらの胡瓜の味が色濃く残る品種を使っている。その種を取り続けることで、うちの農場の土にあった、この過酷な気候を乗り越える力のある胡瓜が生まれるはずだ。

食べる状態の胡瓜は20センチちょっとくらいだけれど、種を取るには、この状態から収穫せずにさらに何日か育てていく。すると、2倍から2.5倍くらい大きくなり、やがて熟して色が黄色くなってくる。その姿はもはや見慣れた胡瓜とは別物だ。この状態で収穫し、1週間から10日ほど追熟させたのち、果実のなかから種を取り出す。

苦瓜は、胡瓜のように大きくはならないけれど、熟すとやはり黄色くなってやわらかくなってくる。その状態で開いてなかから種を取り出すと、赤い果肉に包まれた種が取れる。話はそれるけれど、黄色くなったゴーヤは甘みがあって、これはこれでおいしい。どこにも売っていない、栽培者だけが味わえる味だ。

取り出した種は、陰干しして乾かしてから、来年のために密閉した容器で保管しておく。今年の猛暑を乗り越えて生まれた種は、きっと少し暑さに強くなっているはずだ。

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