パパイヤの露地有機栽培実践記録2018 まとめ  

パパイヤの露地有機栽培実践記録

夏になってぐんぐん生長したパパイヤ


内陸で季節風により晩秋から冬にかけて冷え込む埼玉県寄居町で、実際に露地栽培でパパイヤを種から育てたときの記録をまとめてみた。

もくじ

品種

オキテング2号
矮性(背が高くならない)で収穫が楽、種が手に入りやすい、この2つの理由で選択。種の購入先は長野県のつる新種苗さん。

つる新種苗さんのホームページはこちら

種まき時期の決定

狙いは熟した果実の収穫だったため、最大の課題はいかにして栽培期間を長くし、なるべく早く実をつけさせて、寒さが訪れる前に熟させるかだ。ただし、露地栽培なので早く種をまけばいいというわけではなく、パパイヤの発芽や生育に必要な以下の温度条件を考慮して、種まきの日を決める必要がある。 

温度条件

発芽に必要な温度 昼夜を通して30度程度
生育適温 25度から30度
生育可能温度 10度以上

この条件とほかの野菜の種まき時期、露地の踏み込み温床(以下)で苗を育てることを考えつつ、パパイヤの種まき時期を2月8日と決める。

踏み込み温床づくり

落ち葉と米ぬかに水を加えて発酵させ、その熱を利用して冬の間に夏野菜の苗を育てる伝統的な技術。この発酵熱を利用して、パパイヤを発芽させる。
<この方法の長所と短所>
・短所
労力がかかる(といっても2日もあればできる)

長所
・ビニールハウスなどの大型の設備が不要
・材料費が格安
・使う材料はすべて土に還る(翌年のパパイヤ栽培とってよい土になる)
・環境整備につながる(温床をつくるために落ち葉を掃いたり、竹の間伐をしたりする)

踏み込み温床の作り方の概略はこちら→夏野菜育苗のための踏み込み温床づくり

種まき

種は15粒入りの小袋をひとつ買い、それを一粒ずつ育苗用の自作腐葉土を入れたポリポットにまいて、温度の上がった踏み込み温床に入れる。発酵熱の持続期間(30度弱に落ち着いてから約1か月)と、温床を露地に設置する(夜間の温度低下の影響を受けやすい)ことなどを考え、発酵熱が50度くらいのときに種をまいたポットを温床内に置く。このとき、ポリポットの下に苗箱を置き、発芽するまでポリポットの土に伝わる熱が昼夜を通して30度くらいになるように調節する。

発芽後

過湿になると根腐れしやすいので、水のやりすぎと温度管理、光量に注意しながら植え付けの時期まで温床内で育てる。

温度管理

パパイヤを温床内で管理している間、注意を要するのは温度管理、水、光の3点。そのうち、温度管理は、晴れの日は温度を高めに、雲の日は低めという基本姿勢を意識しつつ、おもに以下の2つの方法で行う。

1)苗箱の枚数で調節
ポットの下に敷いた苗箱の枚数でポットの土に伝わる発酵熱を調節する。例えば気温の高い日中は苗箱2枚、夜は1枚、温床の熱が下がってきたら外すなど。

2)温床の蓋の開け閉めで調節
   

植え付け

当地の場合、植え付けの時期は5月の連休があけて、気温が十分上がり、遅霜の心配がなくなってから。植え付ける1週間くらい前から、外の気温にならすため、苗を温床の外に出して管理する。ただし生育可能温度は10度以上なので、夜間の気温に注意する。

植え付け後の管理

過湿にならないよう、植え付けた場所の水はけに応じて溝を切るなどの排水対策をする。苗が小さいうちは草に負けないよう、特に株元の草対策を徹底する。

追肥

2018年の栽培ではまったく追肥はしなかった。

生長具合と結実

植え付けてからしばらくは、5月の割に気温が高かったにもかかわらず、苗は小さいままだったが、本格的な夏に入ってからぐんぐん生長しはじめ、丈は2メートルを超えた。花も咲き、たくさんの実をつけたが、秋の気温低下もあってやはり実が熟すには至らず、青パパイヤでの収穫で終わった。

台風の影響

強烈な台風24号が上陸したが、支柱を添えただけの簡単な対策だけで、大きな被害はなく、乗り越えた。

結果

収穫した実の重さは、大きいもので500グラム程度。種の売り文句には「実は最大で2kg」とあるので、結果はあまりよくなかったのかもしれないが、当地の気候と露地栽培、初挑戦ということを考えると、悪くはなかったと思う。

反省点

植え付け後の生育具合から、植え付け前に完熟堆肥を施したり、花が咲いてから追肥をすればもう少し大きな実がとれたかもしれない。植え付け時の保温対策もしっかりすると、根付きがよくなってその後の生育もスムーズにいくのではないかと思う。

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