稲刈りは山が生む結果 よりい週末有機農業塾
日曜日のよりい週末有機農業塾は、稲刈りをやった。
「稲刈りって楽しいよね~」
とか
「農家さんって大変だねー」
だけで終わるような、ただの収穫体験をしたくて、やってるわけじゃない。それだけでは伝わることは浅く、響くものは少ない。稲を刈るという行為の意味するところを伝え、感じてもらうのが目的だ。
稲刈りは結果にすぎない。その結果はふたつある。
①農作業の結果
田づくり、種籾選び、田起こし、代かき、田植え、水管理、草刈りなどの一連の作業の結果、稲が実り、それを刈る。
②里山生態系の結果
雨が山に降って染み込み、山の栄養を含んだ水がにじみ出て川を作り、さまざまな生き物の活動が合わさって田を潤す。その結果、稲が実る。下流域の、山なんて見えない平野部にある田も同じだ。
田で生まれた稲わらや籾殻は、畑で用いられ土を肥やす。つまり、本来、山と田、畑はつながっていたのだが、残念ながら今はこういうやり方は絶滅寸前だ。
だからこそ、伝えなければならない。
従来の農業体験は一部を除き、①に片寄りすぎで、内容が田畑だけで完結している。それだと、見えるのは田と畑、作物だけになりがちだ。
それはおそらく、「稼ぐ」視点ばかりが広がり、維持する、保つ、つなげる、残すという姿勢を盛り込まれていないからだろう。
稼ぐことが悪いとは思わないが、なんでもほどほど、いい塩梅にしたほうが、バランスが取れる。そうしなければ、収奪的な農業になってしまい、村はよみがえらない。
バランスを崩した姿勢は、すでに山の荒廃という結果を生んでいる。「役に立たない」と見なされた山は、産廃捨て場、残土処理場、メガソーラー設置等、さらに、とことん収奪され、挙げ句の果てには土砂災害を引き起こして人命を奪う。
いったい、山を役に立たなくしたのは誰なのだろう。
こういうことは、現場に出て体を動かし、実際に見て、さわって、感じてもらうのが一番いい。
これで、里山が田畑を潤す流れを下流の畑からさかのぼり、田にたどり着いた。この後、冬場に母体の山を案内し、農村が育む本来の循環的な環境を体感するプログラムは終わる。
ありがたいことに、よりい週末有機農業塾は、大きな問題がなければ、来年度以降も継続して実施する方針だとうかがった。
一人でもいいから、山に興味を持ってくれる人を毎年産み出そう👍
メガソーラーを目にするたび、何度もヘタレるけど、動くしかない。動くしかできない。
よりい週末有機農業塾について詳しくは、寄居町役場農林課にお問い合わせください。
寄居町役場
電話 048-581-2121(代表)
いただいた感想