今までと反対側の視点を養う出荷体験
今日はよりい週末有機農業塾。地域にある農産物直売所で出荷体験を実施した。
買う側として野菜を見てきた人たちが、自分で種をまき、苗を育て、植え付けて収穫し、自分で値段をつけて売るところまで実際にやることで、自分の頭や体に反対側の視点(作る視点・売る視点)が加わり、見えてくる世界がぐっと広がる。
売られる状態になるまでに、どんな作業や仕事が必要なのか、どのくらい時間がかかるのか、週一回開催の農業塾とはいえ、自分の体で体験したことは、本や新聞で読んだり、テレビの報道で見たりすることとは違った響きを持ち、体感記憶として深く刻まれる。
ふ
今まで安いほうが嬉しかった野菜たち。値段を決める段階になって、実際の販売価格を見た参加者から、
「ずいぶん安いんですね‥‥」
という言葉が漏れたのが印象的だった。
先日、「老農は死なず消えていくのみ」という言葉を残して、執筆活動を引退された農民作家の山下惣一さんの言葉に、「農業問題は消費者問題だ」がある。
多くの人は、農業の問題を農家の問題としてしか捉えていない。でも、そうとしか捉えられていない人が食べている野菜や果物、穀物は誰が産み出したものなのだろう。
農業問題は食べる人の問題だ。あなたが食べているものが産み出される世界にどんな問題や課題があるのか、それを理解しようとせずにこのまま進めば、本質的に困るのは食べるあなただということを頭に刻み込んで欲しい。
「金を払えば買えるんだから、そんなの知る必要ないよ」と思っていると、大きな代償を払うことになるだろう。金を払えば誰でも必ず買えるという状況が常に担保されているわけではない。コロナがその一端を教えてくれたはずだ。
農業問題は食べる人の問題だ。
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