それは果たして自由な競争なのか

防虫ネットなしで育てた春大根が、見事に育ってきたので、出荷し始めることにした👍

最終的に虫による葉の食害はわずかで、心配していた大根猿葉虫もちらちらと姿を見せただけ。実害はゼロに終わった。
ネットを検索すると、大根猿葉虫をどうやって防除するか(つまりどんな薬剤を使って殺すか)という話がわんさか出てくるが、そんな薬剤はもちろん、防虫ネットすら使わなくても春大根が育てられることが目の前で明らかになった。

そもそも、大根猿葉虫も生態系を構成する一員なのだから、薬剤で一度に大量殺戮したら、環境のバランスが崩れて別の問題の引き金になってしまう。

耳障りのいい環境話だけで終わりにしたくないから、さらに続ける。薬剤散布だけを取って単純に批判するのは、喧嘩している片方だけを罰するようなものだ。
考えずに散布する思考にも問題があるが、季節を問わず、いつでも安いものを求める需要が散布の引き金になっていることから目を背けてはいけない。

また、防虫ネットなしだと楽だから、春大根をがっつり育てて一儲けしよう!と考えてしまうと、生態系が単純化してしまうので、失敗に終わる。ひとつの野菜の量は少なく、種類を増やす少量多品目栽培の意味はそういうところにある。

おれたちは、野菜を作らないし、作れない。作っているのは畑であり、その延長に環境がある。

金儲けを狙って規模拡大すると、どの業界、職種でも、短期的にはカネは儲かる。でも、必ずどこか、何かに負担がかかっていることを見落としてはいけない。自分だけ儲かろうとするから、その影で立場の弱い見知らぬ誰かが遠いところで涙を流し続けている。

そういうことを、おれは日常的に見てきた。それが自由競争というものだと言われれば、それまでかもしれない。ただ、スタートラインの違うそれは、果たして本当に「自由競争」なのだろうか。

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