ニンジン筑摩野五寸の味と香り

ニンジン筑摩野五寸

ニンジンがたくさんとれるようになってきた。

うちの農場では、自然農法国際研究開発センターが育成した「筑摩野五寸」という品種のニンジンを育てている。少ない肥料でたくましく成長するいように育成されたニンジンだけあって、少しばかり堆肥を入れただけのうちの畑でも立派なニンジンがたくさん育った。今年は雨が多かったので、水を好むニンジンに好影響を及ぼしたのも一因かもしれない。

ただ、畑の特徴を生かした栽培管理がきちんとできなかったせいか、いくらか大きさのバラつきが出た。一本で250gを超える大型のものができたと思えば、そのすぐ横のニンジンは小指ほどの大きさだったりする。ニンジンの先端がいくつもに分かれてしまう又根の数は少なかったけれど、いくつか出た。

あたなはなぜこんな姿に!?
カブみたいな形になったニンジン
2本のニンジンがねじれて合体していた…。

これら、いろんな姿形をしたニンジンを、形、太さや長さにあわせて選別し、袋詰めして販売する。形のよくないニンジンは、味や食感に変わりはないけれど、調理がしにくいだろうから、値段を下げて販売。買ってくださる方にはお手間をおかけしてしまうが、値段に見合ったものだと感じていただけたら、ニンジンが無駄にならないのでありがたい。

この筑摩野五寸は、会社員時代に家庭菜園をしていた頃から栽培している、思い入れのある品種だ。栽培し続ける一番の理由はやはりなんといってもおいしいから。肉質はやわらかく、筋っぽさがなくて、加熱するととろっとなり、冬になって寒さが厳しくなるとぐっと甘みが増す。真冬にこのニンジンを掘り起こし、初めて生でかじったときの甘みとさわやかなニンジンらしい香りは今でも忘れない。

この美味しさが、買ってくださる方に届きますように。

麦踏みとレンゲの種まき〜生き物を守る有機農業の仕事

大麦の麦踏み
大麦の麦踏み
大麦の麦踏み

少し早めに播いた大麦の麦踏みをした。

去年収穫した大麦のうち、できの良くなかったものを播いて、麦わらを自給することにした。麦わらは地元の農家さんからいただけることになっているけれど、小麦のわらなので、刈り取りは6月。ナスやキュウリなどの夏野菜の苗を植えるときにはまだわらは手に入らない。ということで、畑の開いている東端のスペースを使って小麦より先に取れる大麦を育て、少しでもわらを自給しようと考えたわけだ。

わらの自給以外に、天敵の温存というもうひとつの重要な理由がある。

大麦を播いた畑は、大豆を育てているので、大豆の収穫後は畑がガラッとあく。何か生やしておかないと、表土が冬の季節風で吹き飛ばされてしまって畑が痩せてしまう。それに、植物が生えていなければ畑に住み着きつつあるさまざまな生き物たちの住処もなくなってしまう。だから、大麦を生やしておいて、そこで冬を越してもらい、翌春からの活躍を期待する、という作戦だ。

生き物がいなければ、有機農業の畑は成り立たない。作物の栽培だけでなく、持ちつ持たれつの生き物たちを守ることも有機農業者として大切な仕事だと思っている。

あわせて、南側の空きスペースにレンゲを播いた。レンゲも天敵の住処にするためだけれど、もうひとつ、毎日畑の脇道を散歩する人たちが花を楽しんでくれればいいなという思いで播いた。
前回、播いたときはなぜか虫にやられてしまったので、今回は春に美しい花が咲きますように。

第五回八百万カフェでうちの野菜を使ってもらう

八百万カフェのメニュー
八百万カフェのメニュー
八百万カフェのメニュー

研修生時代の同期が主宰する第五回八百万カフェで、うちのカブと里芋、ニンジン、唐辛子少々を使っていただいた。ありがとうございます!

八百万カフェは、有機野菜が主役の日替わりシェフカフェ「べりカフェ」で、友達が不定期に開催している臨時カフェの屋号? で、べりカフェは、有機農業の里と言われる埼玉県比企郡小川町の小川町駅(東武東上線)から歩いて数分のところにある小さなカフェだ。

この日のメニューは、八百万シチューセット、農家飯定食、別嬪屋直伝マフィンの軽食プレートの3つと、おやつ、飲み物。シチューは自家製ホワイトルウの豆乳シチューで、とろっと、やわらかく、温かで優しい味がしてとてもうまかった!
農家飯定食のメインはカボチャコロッケのニンジンソース添え。カボチャの甘みが生きたさくさくコロッケで、ご飯が進む。生産の現場にいる人間としては、野菜の味が濃いと食べていて嬉しくなる。

また今日からがんばろう!

大豆に近づいた「熟枝豆」のうまさ!

熟枝豆
熟枝豆
茹でた熟枝豆を頬張る手がとまらない。

自宅で枝豆祭りが続いている。

大豆を若いうちに収穫する枝豆は、ビールの友として定着したせいか、夏が旬のようなイメージがあるが、本来、晩秋に取れる大豆を初秋(10月ごろ)にまだ熟していない鞘を収穫したものだ。

夏に売り盛りとなる枝豆は、枝豆用に品種改良されたもので、これはこれでもちろんおいしいのだけれど、夏の初めに種を蒔き、秋までじっくり成長することで味の乗った昔ながらの枝豆は、食べ応え、味わいともに別格だと思っている。栽培する側にとっても、自然の摂理にあった栽培日程(作型)なので、虫の食害もほとんどなく、育てやすい。

そんな昔ながらの枝豆も、うちのあたりの地域だと10月下旬くらいまでが収穫適期とされ、それ以降になると鞘が熟して黄色く変色し、大豆にどんどん近づいてくる。こうなると、枝豆らしい風味は薄れ、見た目も鮮度が落ちたようになることもあってか、枝豆として販売されることはないようだ。

でも、これがまた季節の味としてうまい!大豆に近づいているので、通常の枝豆より少し長く茹でて、口の中にいれると、豆のようにほっこりとした甘みが広がる。枝豆と大豆を足して割ったような風味とも言えるかもしれない。市場にはまず流通していないだろうから、この味わいを楽しめるのは、大豆を育てた人間の特権だろう。

大豆の楽しみ方を広めたいという願いもあって、この枝豆を「熟枝豆」と勝手に名付けて、熊谷の農産物直売所「わくわく広場」で売ってみることにした。 説明書きがないと、鮮度の落ちた古い枝豆にしか見えないので、手書きのPOPを用意してお店に置いてもらった。

しつこいけれど、見た目で損をしている枝豆なので、なかなか手にとってはもらえないかもしれないけれど、一度、この味を体感してもらえれば、(もちろん好みにもよるだろけれど)きっとその美味しさが伝わるはずだ(と願っている)。

うちでは、販売に向いていない品質のよくないものを自宅用として食べている。毎回、出荷のたびに大量に出るので、毎晩のようにぜいたくな熟枝豆祭りを開催中!

熟枝豆の味が広まりますようにー。

ニンニクの発芽 球割れの原因と対策を調べる

紙マルチの穴からニンニクの芽が顔を出した
紙マルチの穴からニンニクの芽が顔を出した
紙マルチの穴からニンニクの芽が顔を出した

ニンニクの芽が出てきた。

今年は計画不足による作業の遅れや台風の影響で、ニンニクの植え付けが遅くなってしまったけれど、先日、なんとか終わらせた。あとは無事に芽が出て、冬を越してくれれば、実りがもたらされるはずだ。

一番心配しているのは、越冬できるかどうかだ。冬を越す前までに葉が4枚くらい出るまで成長していればいいのだけれど、植えるのが遅くなってしまったため、寒さの来訪前にそこまで育つだろうか。

もうひとつは、病気にかからないか。自分たちで食べる分だけなので少量ではあったけれど、会社員時代に家庭菜園でニンニクを育てていたときは、結構立派なものができたので、ニンニク栽培はそんなに難しいという印象はなかったのだけれど、去年は球割れがたくさん出てしまった。

先輩の話では、この辺の地域はネギの産地(深谷)と近くて、ネギの病原菌が多いから、ネギと同じ仲間のニンニクも病気になりやすいとのこと。

しかしまあ、こっちに来て1年目はうまく育ったので、ニンニクが健康に育つ環境をうまく整えられなかった、または収穫のタイミングが悪かった(適期を過ぎると球割れといって割れてしまう)のが原因なのだろう。

球割れの原因を調べるとだいたい以下のとおりらしい
1、 肥料が多すぎる、または肥料を与えるタイミングが悪い
肥料といっても、振り返るとうちの場合は肥料分の多くない堆肥を入れただけだったけれど、その状態や量になんらかの問題があったのかもしれない。
与えるタイミングは、球が太り始める3月以降になったら与えない、とのことだけれど、追肥はしていないので、この点の影響はないはず。

2、収穫のタイミング
たぶん一番大きな原因はこれかもしれない。土の水分を適切に保ち、草を抑えるために、ニンニクの株元に多めの籾殻を敷いていたのだけれど、そのせいで籾殻をどかさないと球の太り具合が見えず、収穫が遅れたのではないか。
と、ここまで書いて、これは違うと思い直す。収穫のタイミングは葉の枯れ具合で判断できるからだ。

3、とう(花芽)の摘み取りタイミング
球が太り始めると、それに従って花を咲かせる芽がびよーんと伸びてくる。この芽を早めに摘み取らないと球の太りが悪くなると言われているが、摘み取りが早すぎると球割れの原因になるらしい。これは初耳だった。
ただ、摘み取りのタイミングは品種によって違うらしいので、今回植えた品種の場合、いつ摘み取るのがいいのか、確認が必要だ。

有機栽培のニンニク 植え付けの準備

有機栽培のニンニク

有機栽培のニンニク
追加分のニンニクの植え付け準備をした。

今年は少し多めにニンニクを栽培することにした。貯蔵できるニンニクは、品質のいいものが収穫できれば端境期の出荷で助けとなるし、有機栽培のニンニクは需要があるはずだと見込んでいるからだ。

多めといっても、畑全体の広さが5反(5000平方メートル)ちょっとしかなく、そのうちの2畝分だけだけれど、全体の作物の比率からして少し多めにしたというだけの話。

有機栽培のニンニク
割り分けたニンニク

これくらいの規模の栽培の場合、一番手間になるのはたぶん種の準備じゃないかと思う。居間の座卓に新聞を敷き、そこに買ってきた種(というか球根。食べるニンニクと同じもの)を広げて、妻に手伝ってもらいながら植え付ける一片一片に手で割り分けていく。種球根の量はだいたい12kgくらい。1kgあたり20球ほどなので、全体で240くらいになる。

有機栽培のニンニク
どっさり出たニンニクの皮

分け終わると、皮がどっさり出る。この皮は堆肥塚に1年くらい積み、来年育てる野菜たちのおいしいごはんになる。

ネギ(東京夏黒ネギ、石倉根深一本ネギ、下仁田ネギ)

有機栽培のネギ

有機栽培のネギ
冬の鍋物や夏の薬味に活躍するネギ。5世紀ごろ中国から日本に伝わったといわれ、その後、さまざまな種類のネギが各地で生まれました。
井伊農場では以下のネギを栽培しています。

東京夏黒ネギ

(夏〜秋にかけて収穫)
耐暑性の強く、夏から秋にかけて収穫する一本ネギです。

おすすめの食べ方

薬味、汁物の具、炒め物、BBQの具などいろいろ。

石倉根深一本ネギ

(秋から冬にかけて収穫)
関東地方で栽培される一本ネギの代表的な品種といわれています。白くなる部分が30センチほどになり、寒さが増すにつれてその軟白部が甘くなっていきます。

おすすめの食べ方

鍋物、煮物、焼きねぎ(食べやすい長さに切って魚焼きグリルで焼くだけ!)、汁物の具などなんでも。

 

 

 

▶︎▶︎栽培しているものーいろいろなものを少しずつ

 

 

 

さまざまな生き物を育む有機農業の力

踏み込み温床でできた腐葉土で生きるカブトムシの幼虫

雨が続き、畑の作業ができないので、落ち葉堆肥の切り返しをすることにした。

うちでは研修先にならって、2月ごろから夏野菜(ナス、トマト、キュウリ、ピーマンなど)の苗を育てるため、踏み込み温床という昔ながらの苗床を作る。夏野菜の種は気温が高くないと発芽しないので、外で苗を育てる場合はうちのあたりだと5月以降になる。それでは夏の始まりに収穫できないので、まだ寒いうちに踏み込み温床の熱を使って種まきをし、早めに苗を育てるわけだ。

踏み込み温床というのは、竹や木の杭とわらで作った囲いのなかに大量の落ち葉と米ぬか、鶏糞、籾殻などの材料をサンドウィッチのように積み、水をかけて足で踏み込む、という作業を繰り返して落ち葉を発酵させ、その熱で温室のようにしたもの。
温室といっても、使う材料は蓋(うちでは廃棄されたアルミサッシの窓を再利用している)の部分を除き、すべて土に還り、作物の力になるものだ。森林で落ち葉掃きをして落ち葉を集めるので、山の管理の一助にもなるし、発酵分解された落ち葉は、有機農業の苗づくりにとって欠かせない良質な腐葉土になる。さらに、電気を使った電熱温床のように、発熱に電気を使う必要もない。すばらしい伝統的な知恵だ。
ただ、正直に告白すれば、大量の落ち葉を集めるのが、なかなかしんどい。

この温床、使い終わった後、積み込んだ落ち葉などを一定期間、畑の端に山のように積み、何回か切り返して空気を入れて分解を促し、腐葉土にする。腐葉土にするために働いてもらう必要のある菌は、好気性菌といって空気を好む菌なので、この切り返しが必要になる。

踏み込み温床
腐葉土のなかのカブトムシの幼虫

その切り返し作業をしていたところ、たくさんのカブトムシの幼虫が顔を出した。落ち葉をエサにするので、餌の山を見つけたカブトムシがここに卵を生むのだろう。この幼虫たちや、ミミズ、ヤスデなどのさまざまな生き物たちが落ち葉を食べてくれることで、分解がさらに進む。
落ち葉集めは労力が必要だけれど、冬の寒さのなかでかいた汗は、さまざまな生き物の糧となり、間接的にその生き物を餌とする動物(鳥や小動物など)たちの食べ物を生み出すことにもなる。

有機農業は、単に農薬と化学肥料を使わない農業ではなく、人間の命を養う農業生産とあわせてさまざまな生き物の命を育み、さらにその力も借りて作物の栽培に用いる農業だと思う。

うちの作物の販売代金は、市場を経由してスーパーなどで販売されるものより少し高い。その代金は、農薬や化学肥料を使わないことに由来する労力(手で草を取るなど)や、食べる人の安心・安全だけでなく、こうした生き物たちの命を育むことにも繋がっているということが、野菜を買ってくださる方に少しでも伝わったらありがたいことだ。

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