埼玉在来大豆の試験栽培

埼玉県には在来の大豆がたくさんあり、『「野菜ジャーナリスト」篠原久仁子が行く!にっぽん豆紀行 埼玉県②』によると、確認されているだけで29種もの在来大豆がある。

でも、県民のほとんどはたぶん知らない。

丹波の黒豆は知ってても、深谷や鳩山の黒大豆は知らない。
というか、大豆に種類があることを知らない人も多いに違いない。

これは地域の財産なのにもったいない。

隣の芝は青く見えるものだけど、自分の芝だってきちんと手入れすれば青くなる。手入れしないで外ばかり見ていると枯れちゃうよ!

ということで、埼玉県農業技術研究センター、埼玉県大里農林振興センターのご協力とご支援を得て、埼玉在来大豆の試験栽培をやることにした。

まずは写真の4種類。

武甲豆
赤豆(来歴は調査中)
花園在来
宿根在来

これらが男衾の土に根づくかどうかの試験だ。今年の夏に種をまき、生育状況や収穫量等をチェック。来年以降の参考データをとる。

自分の芝を青くしよう!
身近な風景を美しくしよう!

小川青山在来大豆、妻沼在来茶豆の刈り取り

在来大豆の収穫刈り取り

在来大豆の収穫刈り取り
急に寒くなってきたと思ったら、小川青山在来大豆と熊谷妻沼在来茶豆の葉かみるみるうちに枯れ落ちて、ぷっくりした豆が実ってきたので刈り取り! 大豆の刈り取り収穫は、大規模栽培の場合、刈り取りと脱粒を同時並行的にできる、コンバインという大型の機械があるけれど、百万円単位のお買い物になるので、うちのような小さなところは一株ずつ剪定鋏で根元を切りながら収穫するから、けっこう時間がかかる。

お米や麦の刈り取りに使えるバインダーという小型の機械に手を加えて、大豆用に使えないか検討中だけど、できるかどうか。

このあと、刈り取った大豆を枝ごと積んであちこちに小さな山(ぼっち)を作り、しばらく天日干ししてから脱穀すれば、今年の大豆が味わえる。このぼっちづくりもそれなりに時間がかかる。ある程度乱雑に(投げたり)してもいいなら別かもしれないが、丁寧に扱わないと乾燥した鞘が割れて豆がはじけてしまう。

最近の、機械での刈りやすさや収穫量を重視して改良された品種じゃなく、昔ながらの味のいい大豆を育ててるので、毎年、買ってくれる人には「甘くておいしい」と好評!

熊谷妻沼在来の茶豆は今年からの新顔。来年は羽生在来の赤大豆、秩父在来の借金なし大豆を加えて、埼玉大豆セットを作る予定!!

ご注文はこちらから
小川青山在来大豆 https://e-nojo.com/products/daizu/
妻沼在来茶豆 https://e-nojo.com/products/menuma_daizu/

追記
羽生在来は種の入手見込みがなくなったので、栽培できるか不明…

西洋かぼちゃの在来種・固定種を探す

ほくほくした西洋かぼちゃの在来種、または固定種の種を探している。なかでも半年(できればそれ以上)くらいの長期貯蔵に耐えられる品種を見つけたいのだが、在来種といわれるかぼちゃは、肉質がしっとりしていて甘みの少ない日本かぼちゃばかりで、西洋かぼちゃの系統はなかなか見つからない。

探している最大の理由は、自分のところで種を採ってつないでいきたいからだ。自分の畑にあった強健な野菜を育てたい、種採りという農の大事な文化を残したい、やりがいを感じている、単純におもしろいなど、いろいろな思いの集合体が種採りにつながっている。

農の文化を残したいといっても、自分が細々と種を採り続けたところで文化が残るに至るとは思っていない。植物(作物を含む)と昆虫、鳥、微生物などのさまざまな生き物と人間が紡いできた生の鼓動には目もくれず、経済効率ばかりを推し進めようとする流れに抗うちっぽけな抵抗であり、非暴力の現代版百姓一揆みたいなものだ。

この小さな一揆が結集すれば、農の文化は残るかもしれない。

かぼちゃの種に話を戻す。

少ないながらも、いくつか在来種・固定種の種を見つけたものの、貯蔵性が高いのかどうかが判断できず、二の足を踏んでいる。

ひとつめは芳香青皮甘栗南瓜。日本で育種された最初の西洋かぼちゃらしい。販売されていて入手できるという点から、有力候補なのだけれど、販売店のサイトには貯蔵性について何も書かれていなかったため、問い合わせてみた。

すると、貯蔵を目的にして育成された品種ではないので、貯蔵性は高くないが具体的なデータは自社内にないのでわからない。育成元ならわかるかもしれない。

という回答とともに、育成先を紹介してくださった。

さっそく育成元に問い合わせると、やはり長く貯蔵できる品種ではなく、収穫後、1か月以内に食べたり販売したりするのがいいとのことだった。

貯蔵性を求めるのは、冬場に売れる野菜の種類を増やしたいからだ。うちは、ビニールハウスがなく(もともと使おうと思っていない)、作物はすべて露地栽培で、ビニールトンネルでの保温もしないから、冬場の野菜といえば、根菜類(人参、大根、ごぼう、山芋、里芋など)が中心で、それにかぼちゃやネギや白菜、ほうれん草(今年はほとんどとれなかった)などが加わる程しかない。

うちの栽培方法のまま冬に売れる野菜を増やすには、貯蔵することで味がのってくるかぼちゃはぜひ加えたい。一昨年から半年ほど貯蔵できる自然農法国際開発研究センターの「カンリー2号」を育てていて、その強健ぶり、味わい、貯蔵性ともに気に入っているのだけれど、交配種のため種がとりにくい。そこで在来種や固定種の種を探し始めたわけだけれど、なかなか見つからない。

もうひとつ見つけたのは山形の在来種「蔵王かぼちゃ」。ただ、こちらは種を販売しているところが見つからないから、入手は難しい。
https://www.yamagata.nmai.org/traditional_vegetables/y05_zaokabocha.html

ほかにも在来かぼちゃはいろいろ見つかるけれど、みな同じように種の販売先が見つからない。

こういうサイトも見つけた。
https://tanetsugibito.com/

そもそも、冬至にかぼちゃを食べるような、長期貯蔵を前提にした習慣はいつからあるのだろう? 冬至に食べるかぼちゃは、やはり日本かぼちゃだったのだろうか? それとも、昔は今より夏の気温は高くなかったから、今とはかぼちゃの作型が違い、夏に種をまいて晩秋に収穫していたのかもしれない。

http://www.ruralnet.or.jp/gn/201806/syubyouhou.htm
作物と向き合ってきた人の言葉はやはり違うなあと思った。

古い在来種の作物が呼び起こす記憶と認知症

万福寺大長人参(滝野川大長人参)

万福寺大長人参(滝野川大長人参)
万福寺大長人参(滝野川大長人参)

昨年末、友達のお宅で忘年会をやったとき、うちの野菜と米を手土産に持って行った。

後日、友達がうちの米を炊いてお母さんと食べた。お母さんは高齢で認知症を発症している。もうお年ということもあって、普段、そんなにたくさん食べないお母さんが、
「このご飯はいつものと違うよ」
といって、茶碗に一杯のご飯を完食! 驚いた友達がメールで知らせてくれた。一緒に持っていった野菜のなかに、ニンジンの古い品種「万福寺大長人参(滝野川大長人参)」があった。長さが60センチほどにもなる長い人参で、江戸初期に日本に渡来した日本で最も古い系統の血を引く人参だ。

「昔は長い人参しかなかったのに、いつからか短いのばっかりになったのよねー」

人参を見たお母さんが若い頃を懐かしみながら、もりもりとフライにした人参を平らげたという。認知症の人は新しいことは覚えられないけれど、過去の記憶ははっきりしていると聞いたことがある。人参に関してお母さんはまさにそれだった。

古い在来種の作物には、ひょっとしたら、何かこう、過去の記憶を遡り、脳を刺激する力を秘めてるんじゃないか、なんてことを考えた。人によって違うかもしれないが、舌が覚えている味の記憶というのは、意外とはっきりしていることが多い。
うちは化学肥料を使わないで栽培しているので、昔ながらの味がきちんと人参に出たのかもしれない。それをお母さんが言葉で表現してくれたのだとしたら、なんてことを考えると、ひとつの感激が生まれ、大長人参を掘る苦労がすっ飛んだ。

さらに後日、持っていった根菜類を使ってお雑煮を作ったところ、
「野菜の味が出ておいしい」
と、汁も飲み干しつつ、茶碗に3杯も食べたという。この季節、冬の寒さにあたった根菜は確かに甘みがのって味わい深くなる。

さらに後日、お母さんがご飯をおかわりし、
「このご飯はふっくらぱりっとしてて内容がある」
との感想を。「内容ってなんだ?」と友達がツッコミを入れたそうだが、それはさておき、おかずにした切り干し大根(うちの大根を切って天日乾燥させたもの)もお代わりし、油で焼いただけの葱を口にして
「こんな甘くておいしい葱はふつうに売っていない」

葱は、昭和初期に生み出された関東地方の一本葱を代表する「石倉根深一本葱」を栽培している。やわらかさが売りのおいしい葱だ。今年は早くから寒さが厳しくなったので、甘みがよくのったのかもしれない。

お母さんは、体力の衰えから普段は少し歩くと息が上がってしまっていたそうだが、前よりよく食べるようになったことで、体力が少しずつ回復してきたらしく、さらに数日後、出かけたときに往復1kmほどの道のりを息が上がらないで歩いた! こんなことはものすごく久しぶりだと、友達から驚きの連絡がまた入った。近所の人からは
「お母さん、顔色が良くなったね」
と言われるそうだ。

ここまでくると、もはやうちの野菜がどうとか、そういうことを軽く超越して、食べるとは何なのかということを改めて考えさせられた。毎日の適切な食事の積み重ねが命につながり健康の貯金になる。食べ物の生産に携わる身として、忘れてはいけないことをお母さんに教えてもらったような気がした。

去年の7月から独立して農業を始め、直売所やスーパーに出荷しているけれど、食べた人から直接感想が来たのは初めてのことで、やはり「おいしい」と言ってもらえるのが一番うれしい。

今年から、少しまとまった面積の田んぼを借りられそうなので、お母さんの食欲を喜びとやる気に変えてにして、お米を本格的に販売したいと思っている。喜んでくれる人がいれば、夏のきつさも乗り越えられる。

打木源助大根の食味試験_「甘みがある」は本当か?

打木源助大根の食味試験

打木源助大根という品種の大根を栽培している。

加賀の伝統野菜に指定されている大根で、加賀のおでんには欠かせない存在だそうだ。長さは20〜30センチほどと短くてずんぐりとした形をしている。大きくないので食べきりサイズだし、冷蔵庫にも入れやすい。昭和の初めごろに生まれた品種だけれど、核家族化が進む現代の暮らしにもあっているかもしれない。

さらに、繊維質が少なく、煮ると肉質なめらかでやわらかいが、煮崩れすることはない。さらに甘みがあるという、煮大根好きには嬉しい大根だ。とはいえ、もちろんいいこと尽くめではない。栽培や販売の面からすると、日持ちがよくない、表面に傷がつくと2、3日で変色してしまう、収穫が遅れるとすが入りやすい、といった難点がある。

でも、やはり味の良さを優先したい身としては、この大根を育てて少しでも多くの人に昔ながらの良さを伝えたい。この大根の難点のうち、「日持ちがよくない」、「傷つくと変色しやすい」の2点は、市場経由の長期輸送には向かないけれど、うちのような畑と販売先が一本でまっすぐ繋がっている直販ならば、注意して扱えば大きな問題にはならないはずだ。あとは、簡単なことではないけれど、収穫が遅れないように気をつければいい。

さて、その打木源助大根が収穫を迎えている。うちでは、「むかし野菜シリーズ」のひとつとして、そのことがわかるようにシールを貼り、この大根を販売することにした。キャッチフレーズは「繊維質が少なく甘みがある 打木源助大根」。

昨日、熊谷市にある直売所のわくわく広場にこの大根を納品した。今までも何度か納品していたけれど、値札シールを貼って並べただけで、大根の特徴について記したPOPやシールは余裕がなくて用意できなかった。でも、それだとはやり打木源助大根のよさを知らない人には、短くて小さい割に割高の大根にしか見えなくて、あまり売れなかった。すぐ隣に立派な青首大根が手頃な値段で売られているのだから、無理もないだろう。

今回は頑張ってシールを用意し、10本納品した。大根の棚にはライバルの生産者が(品種は違うので比べる意味はないけれど)立派な姿の大根を並べている。値段も悪くない。うーん、この大根と勝負するのはちょっと辛そうだな、いくらかでも売れて、食べてもらえれば、時間はかかってもおいしさが伝わるはずだ、と前向きに捉えることにしたが、売れるかどうか心配でならない。

夜、表面に傷や割れがあって出荷できなかった打木源助大根をつかい、妻が煮物をつくってくれた。看板に偽り無し、の味かどうか心のもやもやを抱えながら口に運ぶと、食感はいつわりなし。たしかにやわらかくなめらかで、味がしみている。筋っぽさはまったくない。ただ、残念ながら苦い! なぜだ!?

出荷できない品質の大根を調理したものだから、何か問題があったのか? 出荷したものも同じように苦かったら、買ってくれた人はがっかりするだろう。これは栽培した人間としてとてもつらい。

ネットでいろいろ調べてみたけれど、品種特性としてはやはり甘みがあるようなので、栽培管理が悪かったのか、収穫のタイミングか、それとも調理か。調理については、下ゆでしないと苦味がでる、という情報がたくさん出てくるけれど、うちでは通常は下ゆでなんかしなくても苦味はでない。
妻が
「大根にすが少し入っていた」
と言っていたので、それも影響しているのかもしれないけれど、すが入っても筋っぽくはなるけれど苦くはならないはずだ…。

打木源助大根の食味試験
打木源助大根の食味試験。水で煮ただけの大根を食べてみた。

はっきりしたことはわからないので、残っていた打木源助大根を水で煮て味付けせずに食べてみることにした。上、中、下と部位別に切り方を変えて、味の違いがわかるよういしてから、水を入れた鍋に切った大根を入れ、ことこと煮て、箸がすっと刺さるようになったところで木のお椀に取り出す。鍋の蓋をあけると、大根の甘みがのった香りが立ちのぼる。これは苦くなさそうだ。

口に入れると、しっとり柔らかく、大根らしいやさしい甘みに富んでいて、何も味付けしていないのにとてもおいしい。煮汁も大根の出汁が出て、これだけでがぶがぶ飲める味。これは嬉しい。昨夜の大根は一体なぜ苦かったのだろう?

翌日の朝、前日の売り上げ報告メールが届く。だ、大根は??

なんと、見事完売! 安堵と同時に、売れた大根のなかに苦いものが混じっていないことを祈るばかり…。

天王寺カブの販売に苦戦&固定客第1号誕生!?

有機栽培のシール

今日はいいことがあった。

わくわく広場さんに今日の野菜を納品しに行ったときのこと。値段のついたバーコードシールを出力し、それを野菜に貼って棚に並べ終わり、さて帰ろうかいうところで、一人の男性のお客さんが携帯で「有機野菜がどうのこうの」と話している声が耳に届いた。

ん? 有機野菜? ひょっとして。

「ええと、赤いシールが貼ってあるやつ? チンゲン菜が○○円、キャベツが○○円、大根が○○円…」

そう、赤いシールが貼ってあるやつとは、うちの野菜のこと。赤い文字で「農薬と化学肥料を使わずに栽培しています」と記したシールをそれぞれの野菜に貼っているのだ。うちは有機栽培ですべての作物を育てているけれど、有機JASの認証をとっていないので、商品に「有機農産物」とか「有機栽培」と表示することはできない。そのかわりに有機栽培であることが伝わるように、「農薬と化学肥料を使わずに育てています」というシールを貼って伝えているのだが、このお客さんは電話の向こうの人と、そのシールを目印にどの野菜を買うかという話をしているわけだ。

つまり、つまり、これはひょっとして、うちの野菜の固定客第1号様の誕生ってことか?! 

そのお客さんは、うちの野菜を4つくらい買い物かごに入れて、レジの方へ。あああ、こんな嬉しい話は涙なくして語れない。毎日、日の出から夜まで、種をまいて草を取り、収穫、袋詰めし、少し遠い(納品時間を含めて往復1時間半程度)けれど火、木、土、日の週4回、休まず納品してきたかいがあった!

天王寺カブのシール
天王寺カブ

あまり売れず、苦戦気味だった天王寺カブも、品種としてのおいしさが少しずつ伝わってきたのか、ここ数日は一定量が売れるようになってきた。最近は、一般的に流通しているカブとは違うということを見せたほうがいいという先輩の助言にしたがって、品種名と特徴を簡潔に記したシールをつくって貼り、うちの農場の「むかし野菜シリーズ」として売ることにした。

天王寺カブのおいしさがいろんな人に伝わりますように!

ネギ(東京夏黒ネギ、石倉根深一本ネギ、下仁田ネギ)

有機栽培のネギ

有機栽培のネギ
冬の鍋物や夏の薬味に活躍するネギ。5世紀ごろ中国から日本に伝わったといわれ、その後、さまざまな種類のネギが各地で生まれました。
井伊農場では以下のネギを栽培しています。

東京夏黒ネギ

(夏〜秋にかけて収穫)
耐暑性の強く、夏から秋にかけて収穫する一本ネギです。

おすすめの食べ方

薬味、汁物の具、炒め物、BBQの具などいろいろ。

石倉根深一本ネギ

(秋から冬にかけて収穫)
関東地方で栽培される一本ネギの代表的な品種といわれています。白くなる部分が30センチほどになり、寒さが増すにつれてその軟白部が甘くなっていきます。

おすすめの食べ方

鍋物、煮物、焼きねぎ(食べやすい長さに切って魚焼きグリルで焼くだけ!)、汁物の具などなんでも。

 

 

 

▶︎▶︎栽培しているものーいろいろなものを少しずつ

 

 

 

江戸東京野菜の後関晩生小松菜を育てる

後関晩生小松菜

後関晩生小松菜
後関晩生小松菜DSC_1018

江戸東京野菜のひとつ、後関晩生小松菜を栽培している。

種を買った野口種苗研究所のサイトでは、「秋まきの露地栽培で寒さに合わせ糖分を蓄えた味は他の追随を許さない(http://noguchiseed.com/hanbai/tane/shosai/0222.html)」と紹介されている。そこまでうまい味のものを育てられるかどうかはわからないけれど、昔ながらの品種に興味があり、かつ、味を重視したい姿勢の身としては、そそられる文言だ。

ただ、味がいいとはいえ、栽培している人はとても少ないらしい。というのも、この小松菜は柔らかくて食味がいい反面、茎や葉が折れやすく、収穫や袋詰めに手間取るからだ。さらに、生育がそろわない(つまり一度に大量に収穫・出荷するのが難しい)、病害虫に弱いなどの弱点もある。

うちのような小さな農家は、生育が揃わなくても致命的な問題にはならない(もちろん揃ったほうがいい)けれど、農薬を使わないで栽培しているため、病害虫に弱いというのはけっこう辛い。

このふたつの弱点は、市場流通では命取りになるのだろう。なにしろ、生育が揃わなければ大量生産には向かないし、折れやすいとなると気を配りながら収穫しなければならないので時間がかかる。その後の長距離輸送(産地から市場)もきっと注意が必要になるに違いない。

最近の小松菜のほとんどは、こうした弱点を克服するため、中国野菜のチンゲン菜などとかけ合わされた交配種がほとんどらしい。確かにチンゲン菜は茎葉がしっかりしている。あちら立てればこちらが立たず、というのか、その分、小松菜らしい食感や風味は失われてしまうようで、そこが残念なところだ。

実際に育った後関晩生小松菜を収穫してみた。確かに、研修中に栽培していた交配種の小松菜と比べると、茎が圧倒的に弱く、ぽきぽきと簡単に折れてしまう。調製するときも、折れないように丁寧に扱わないといけない。交配種の小松菜は、さほど気を使わなくても折れたりしない。栽培する人が減っていくわけだ。

いくつか収穫して、味噌汁の具にして食べてみた。まだ冬の寒さにあたっていないので、小松菜らしい風味が十分出ているとはいえないけれど、交配種の小松菜のように筋っぽくなく、シャキシャキしているけれどやわらかい。うまみがのってくるのが楽しみな味わいだ。

後関晩生小松菜にもいくつかの系統があるようなので、系統によって変わるかもしれないけれど、うちで育てているものは外観が交配種の小松菜とはずいぶん違って、葉が茎に沿ってもやーっと全体的に広がっている感じだ。見慣れないと小松菜とは気づかないかもしれない。直売所ではあまり売れないかなーと思いながら、試しに少しばかり出してみたところ、悪くない反応だった。

伝統的な小松菜の味わいを少しでも多くの人に知ってもらえる機会なので、価格をうまく調整して直売所で丁寧に売っていこう。冬になって味の十分乗ったものがうまく出せれば、この小松菜のファンが生まれるかもしれない。

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