超大型台風21号が過ぎ去り畑は沼地と化した…

台風で倒れたオクラ

超大型と言われた台風21号が過ぎ去った。
たぶん、農家ブログの類はこの台風の話題でもちきりだろう。

吹っ飛ばされそうな支柱やネットは畑にないので、特にとるべき対策もないと思い、過ぎ去るのを待っていたのだけれど、いやー、やられた、やられた。

うちのメインの畑は水はけが結構いいので、ちょっとした雨ならまったく問題になることはないのだけれど、さすがに雨続きで最後にどかんと台風に襲われたもんだから、耐えきれなかったようだ。というのも、周囲の畑の一番低いところにあるので、周りの水が見事に流れて集まってくる恐ろしい立地なのだ。

畑に面した農道は、もはや道というよりせせらぎ(そんな可愛いもんじゃないけど)になり、水が勢い良く流れている。雨季のカンボジアを彷彿とさせるような光景で、一瞬懐かしさがこみ上げてくるが、そんな余韻に浸っている場合ではない。ここは紛れもなく日本で、目前にあるのは甘い郷愁ではなく現実的な台風の被害なのだー!

オクラは強風でなぎ倒された。種を取ろうと思って実をつけさせていたんだけど、大丈夫だろうか…。

台風で倒れたオクラ
台風で倒れたオクラ

ニンジンは低いほうの畝が水没して、水草のようになっている。

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発芽して間もないほうれん草は、完全に水面下に沈んでしまったし、カブも強風にあおられてぐったり斜めに倒れている。見事にやられたものだ。

農道のせせらぎが畑に流れ込んでこないのが幸いだけれど、周囲の畑から流れ込んできた水が出口をなくしたうちの畑で滞っている。これはまずい。こんなたっぷり水を湛えていた状態じゃあ、作物が根腐れしてしまう。

ということで、もはや湿地帯のようになった畑を見ながら、平鍬で排水の溝をきっていく。無駄に畑の土を動かしたくないので、うっすらとした水の動きに沿って鍬を振り、せせらぎに排水されるように出口を作ってやる。

台風で溜まった水の排水
台風で溜まった水の排水

5、6箇所くらい出口を作って、順調に排水されるようになり、これで一安心、あとは多少時間がかかるだろうけれど、待つしかない、と思った矢先、隣の畑からうちの畑に流れ込んでくる水に気づく。ここを止めなきゃ、いつまでたってもうちの畑は乾かない。
土嚢かなんかでせき止めるのが簡単そうだったけれど、そんなことをしたら隣の畑の人とトラブルになりかねない。ということで、流れ込む水が最短距離でせせらぎに接続されるよう、またしても溝をきる。

ニンジン(筑摩野五寸、黒田五寸)

ニンジン筑摩野五寸
ニンジン筑摩野五寸
ニンジン筑摩野五寸

筑摩野五寸

(秋〜冬に収穫)
自然農法国際研究開発センターが育種した、秋冬にとれるニンジン。ニンジンらしい風味に富んでいて、寒くなってくるとぐっと甘みがのりおいしくなります。加熱するととろっとやわらかく、生で食べてもおいしいです。会社員時代に家庭菜園をやっていたときから、ずっとこのニンジンを育てています。

黒田五寸

(早春から初夏、秋から冬に収穫)
日本の洋種系カロチンニンジンを代表する品種です。カロチン含量が多く、やわらかくて栄養価が高いニンジンです。

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ごぼう(滝野川ごぼう、大浦太ごぼう)

日本でしか食用されていないといわれる野菜。独特の歯ごたえは、野菜のなかでも含有量がトップクラスのイヌリン(炭水化物の一種)とセルロース(繊維質)によるもの。いずれも腸内をきれいに掃除する働きがあります。

滝野川ごぼう

江戸東京野菜のひとつで、長根ごぼうの代表的な品種です。江戸時代に滝野川村(現在の東京都北区滝野川)で改良・採種されたごぼうで、国内で栽培されるごぼうの9割以上はこの品種を親にして生まれたものです(※1)。

おいしい食べ方

煮物。
皮の近くにうまみとごぼう特有の香りがあるので、皮をむくというより包丁でこそげるくらいにしたほうがおいしくいただけます。

大浦太ごぼう

千葉県の大浦町原産のごぼう。長さは60センチほどと短くて太く、少しごつごつした外観をしていますが、繊維質が少ないためとても柔らかいごぼうです。

おいしい食べ方

柔らかさをいかした煮物。
大きいものは芯が空洞になるので、肉詰めなどにすることもできます。

●参考文献
※1:JA東京中央会 http://www.tokyo-ja.or.jp/edo/takinogawa.html
(2017年10月22日閲覧)

 

 

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非結球白菜(べか菜、山東菜)

べか菜
結球しない白菜の総称。白菜は明治期に中国から導入された外来野菜ですが、当時、日本では栽培技術的に結球させることが難しかったため、結球白菜より先に一般に周知されたのが、この非結球白菜の仲間といわれています(※1)。

べか菜

小松菜と並んで東京を代表する菜っ葉。山東菜を小さいうちに収穫するための野菜として改良したものです(「べか」とは小さいという意味)。波打った形で、新緑を感じさせる鮮やかな淡い色の葉が特徴的です。葉は白菜より柔らかく、白い茎の部分はシャキシャキとみずみずしいです。

おすすめの食べ方

サラダ、おひたし、炒め物、鍋物、煮物、漬物、汁物の具などいろいろと使えます。

山東菜

山東菜

中国の山東省からもたらされたといわれる野菜で、明治初年に日本に導入されました。大きく育てると中央部が結球するため、半結球白菜といわれることもあります。半分結球した大きいものは6kgを超えますが、一般に出回っているものは結球する前に収穫したもので、小松菜ほどの長さです。
この山東菜を小束収穫用に改良したものがべか菜です。

おすすめの食べ方

煮物、お浸し、炒め物、汁物の具、漬物など

●参考文献
※1:清水克志「大正期の日本におけるハクサイの普及過程 —需要の高まりと種子供給体制に着目して」秀明大

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カブ(大野紅かぶ、みやま小かぶ、金町小かぶ)

大野紅かぶカブは煮物、漬物、汁物の具など、古くから日本の食卓に根付いた野菜のひとつで、各地でさまざまな品種が育まれてきました。
当農場では以下のカブを栽培しています。

大野紅かぶ

北海道亀田郡大野町を中心とする地域で栽培されてきた赤かぶ。葉柄も美しい紅色をしているので、一緒に浅漬けにすると彩りがきれいに仕上がります。

おすすめの食べ方

浅漬け、ぬか漬け、煮ものも可(葉は煮食だとあまりおいしくない)

みやま小かぶ

金町小かぶと樋の口かぶを掛け合わせて生み出されたカブ。肉質が緻密で甘みがあり、生で食べても柔らかくて美味しいです。

おすすめの食べ方

サラダ、漬物、汁物の具、煮物(煮すぎるととろけるので注意)、和え物などいろいろ使えます。

金町小かぶ

江戸東京野菜に認定されているカブ。東京の金町(現在の葛飾区東金町あたり)で育てられた小かぶの品種といわれています。煮崩れしにくく煮物に向いています。

おすすめの食べ方

煮物、漬物、汁物の具

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小松菜(ごせき晩生、早生丸葉、新戒青菜)

現在の市場に出回っている小松菜のほとんどは、生産や流通などの事情により、中国野菜のチンゲンサイやターサイと交配させたものがほとんどで、小松菜本来の風味と食感は損なわれてしまっていると言われています。
当農場では、昔ながらの小松菜らしい風味とやわらかさを楽しんでいただきたいという想いから、以下の品種を栽培しています。

ごせき晩生小松菜

昭和25年から、小松菜発祥の地といわれる東京都江戸川区の後関種苗が作り上げた小松菜で、葉が大きくて厚いのが特徴です。江戸東京野菜に登録されています。

丸葉小松菜

昔ながらの小松菜の姿にもっとも近いといわれる品種で、丸くて大きい葉が特徴です。春も栽培できますが、秋にまいて冬に収穫したものがやはり味がいいです。

新戒青菜

(しんかいあおな)

群馬県のあるお寺で栽培されてきたという小松菜の新戒青菜(しんかいあおな)。葉は厚みがあって柔らかく、小松菜らしい風味に富んでいる。
新戒青菜(しんかいあおな)。

群馬県にあるお寺で代々、採種されてきたといわれる小松菜です。丸く肉厚で色の濃い葉は、お浸しや汁の具にするととてもおいしいです。

 

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大根(三浦、打木源助、こーちん)

大根の品種数は数百といわれ、地方ごとに特徴のある大根がありますが、スーパーでみかける大根はほとんどが青首大根。当農場では青首大根だけでなく、昔ながらの白首大根や、ちょっと変わったビタミン大根(こーちん)なども育てています。

三浦大根

収穫時期  秋から冬

肉質がつまっていてやわらかいため煮物に適しています。真ん中から下にかけて膨らみのある白首大根で、大きくなると長さが50センチにもなります。三浦半島特産の大根でしたが、三浦市農協のウェブサイトによると現在では栽培が激減し、三浦半島で栽培される大根の1%ほどにとどまっています。

打木源助大根

(うつぎげんすけだいこん)
加賀伝統野菜の打木源助大根

収穫時期  秋から冬

加賀伝統野菜のひとつ。長さ25センチほどのずんぐりとした体型の大根で、繊維質が少なくやわらかくて甘みがあり、大根らしい風味に富んでいます。金沢市生まれで、金沢市打木町の故・松本佐一郎が愛知県の井上源助が生み出した品種「源助総太」と、打木地区で栽培されていた練馬系の大根を掛け合わせ、年月をかけて固定選抜した大根です。

おすすめの食べ方

煮物、おでん、鍋物、大根ステーキなど加熱して食べるとこの大根らしさが味わえます。

【参考】
加賀野菜〜産地からのストーリー〜
源助大根・松本充明さん
http://www.kanazawa-kagayasai.com/kagayasai/gensukedaikon/

コーチン大根

(ビタミン大根)

収穫時期  秋から冬

ビタミン大根という別名があるとおり、ビタミンに富む大根で、歯切れがよく、特に大根おろしやサラダに向いているといわれています。長さは20センチほど。地面から出た部分は表面、芯ともにあざやかな緑色で地下に潜った部分は白く、その境がはっきりしています。

 

 

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奥武蔵地這キュウリの片付けー節なりと地這キュウリの違いと味

キュウリ支柱の片付け(奥武蔵地這)

キュウリ支柱の片付け(奥武蔵地這)
キュウリ支柱の片付け(奥武蔵地這)
夏野菜の片付けを進めている。

ここ週数間で一気に気温が下がり、ぐっと秋らしくなってきた。朝晩は冬を感じさせるくらいだ。気温が下がってくると、夏に最盛期を迎えていた野菜たちは、寒さに震えるように葉を落としたり、実(身)を小さくしたりして早めに子孫(種)を残そうとするかのように、表向きの勢いがなくなってくる。

8月にたくさんの実をもたらしてくれたキュウリを片付けた。枯れた茎葉をネットから外し、支柱を畑から抜いてまとめる。キュウリの根元に敷いていた麦わらや枯れ草を隣の畝に寄せ、生えてきたいくばくかの草を三角鎌で削り取る。

キュウリが盛んに実をならせていた頃のことを思い出しながら片付けをしていると、ひとつの時間の流れが去っていったかのような気分になり、キュウリが頑張ってくれたことに感謝しつつ、うっすらとした寂しさに覆われる。

っと、感傷的になったいる場合じゃない。次の野菜が待っている。

今年は埼玉県の秩父地方で育種されている奥武蔵地這という品種のキュウリを育てた。キュウリには大きくふたつの種類がある。ひとつは、中心となる親づるの節ごとに実をならせる「節なりキュウリ」。もうひとつは、主枝から分岐した子づるやそこからさらに分かれた孫づるに実がつく「地這キュウリ」。

●参考
節なりキュウリと地這キュウリの違い(野口種苗研究所)
http://noguchiseed.com/yasai/spring/jihai_kyuuri.html

節なりキュウリのほうが実なるところが親つる周辺にだいたい定まっているので収穫が楽なこともあり、家庭菜園などを除き、販売目的での栽培の場合はほとんどの農家がこちらを育てていると思う。
一方の地這キュウリ。地這と言っても、地面を這わせて育てるだけでなく、支柱を立ててそこに張ったネットに絡めて育てることももちろんできる。品種によって多少の違いがあるかもしれないけれど、つるが左右に広がり旺盛に葉をつけ、あちこちに実らせるため、収穫に時間がかかる。だから敬遠されるのだろう。

収穫の手間を優先条件として品種を選ぶなら、地這キュウリの存在は遠く霞む。ただ、うちでは、たまたま最初に育てた地這キュウリ(ときわ地這)が、柔らかくてほんのり甘みがあり、とてもおいしかったので、以来、地這キュウリしか育てていない。パリパリした食感のキュウリが主流のようだけれど、うちが育てている地這キュウリは、皮がやわらかいためかパリパリよりポリポリといった口当たりだ。

昔ながらのキュウリの味はこんなだったらしい、という話を聞いたことがある。キュウリもまた、栽培しやすさを最優先して品種改良が進められてきたんだろう。もちろん、栽培しやすさは農家にとって最重要課題のひとつだ。技術的にまだまだ未熟なうちにとっても、栽培しやすいというのはありがたい。

でも、それより、自分がおいしいと感じた品種を育てて、そのおいしさを食べてくれる人と分かち合いたいという思いのほうが強いし、野菜を買ってくれる人にとっては、育てやすさよりおいしさに関心が向くだろう。

もちろん、味には好みがあるので、パリパリしたキュウリを好む人には、うちのキュウリは口に合わないだろうし、スーパーや直売所の野菜売り場を見る限り、パリパリキュウリのほうがおそらく人気がある。

でもまあいい。流れにのる必要のあるときもあるけれど、常に主流をたゆたう必要はない。昔ながらの味を求めている人にうちのキュウリが届き、喜んでもらえれば、それで十分幸せだ。

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