5つのこだわり
野菜の栽培についてはさまざまな考え方がありますが、当農場では、野菜も人間も生きているという意味では基本的には同じだという考えのもと、次の5つのことを大切にして野菜を育てています。
もくじ
1.健全な土が健康な作物を育む
しっかり睡眠をとり、きちんと食事をとってストレスなく生きていれば病気にかかりにくくなるのと同じで、作物も健康に育てれば病気や虫にやられることはあまりありませんし、やられたとしてもさほど大きな被害にはつながらないものです。
農作物にとっての睡眠や食事の場は畑の土なので、当農場では作物が健康に成長する土を育てることを重視しています。(これが簡単ではないのですが……)
2.食べ過ぎは病気のもと
人間も作物(植物)も同じで、たくさん食べると早く大きくなります。ですが、食べ過ぎでメタボになると病気がちになるのと同じで、早く大きく育てたいがために肥料をあげすぎてしまうと、病気の原因になります。ですので、与える肥料を少なめにして、健康な作物を育てることを心がけています。
また、人間がサプリメントや栄養ドリンクだけでは元気に育たないのと同じで、化学肥料だけを与えている畑では作物は健全に生育しません。だから、畑に十分なごはん(畑の主食となる堆肥など)を与えるようにしています。
3.健康なら薬(農薬)はいらない
健康な作物は病気や虫に負けることはありません。虫や病気にやられたら(やられそうになったら)農薬を使う、という考え方ではなく、虫や病気にやられないような元気な作物を育てることを目指していますので、たとえ有機JASで認められた農薬であっても、使いません。そのため、有機JAS認証も取得していません。
有機JASの認証制度について詳しくはこちら
・有機食品の検査認証制度(農林水産省)
病気や虫で作物が大きな被害を受けたら、作物が何らかの理由でストレスを受けていたことが考えられますので、そのストレスの源を突き止めて予防する、という方法で健康な作物を育てていくのが当農場の考え方です。
4.野菜も人間も一人じゃ生きられない
人間がひとりでは生きられないのと同じで、本来は野菜も単独では健康に育ちません。ミミズやヤスデ、トビムシ、さまざまな微生物や植物など、畑のいろいろな生き物の活動がなければ、健康な野菜が育つ健全な土は成り立ちません。
農薬を使うとこれらのこれらの生き物を殺してしまったり、悪影響を及ぼしてしまったりします。さらに、こうした生き物が農薬の害を受けると、これらの生き物を餌として生きている生き物にも影響を及ぼします。当農園が農薬を使わないもう一つの理由は、こうした畑とともにある生き物たちを守るためなのです。
5.育てやすさ、売りやすさより「おいしさ」
「育てやすくて売りやすい」というのは農家にとってとてもありがたいことです。野菜の種を買うと、その袋には「育てやすさ」や「売りやすさ」に関係する、次のような売り文句が書かれています。
育てやすさ
早く育つ、発芽がそろいやすい、病気に対する抵抗力がある、暑さ(寒さ)に強いなど
売りやすさ
収穫量が多い、形がそろう、色がいい、大きくなりすぎないなど
値段の安い輸入作物がたくさん国内に入ってくるなか、育てやすくて売りやすいという条件は、農家にとってとてもありがたいことです。ですが、作物は食べ物ですので、それよりも大切なのはなんといってもおいしさだと思います。(安全で安心できるのは第一です)
早く育ち、病気に強くてたくさんとれる野菜でも、おいしくなければ長くは売れませんし、買ってくださった方も残念な気持ちになることでしょう。
昔と比べると野菜の栄養価や味が落ちたとは、よく言われることです。その理由はいろいろあると思いますが、ひとつは味より育てやすさや売りやすさが優先されてきたことにあるのではないかと考えています。
とはいえ、繰り返すようですが、私も農家の一人として、育てやすくて売りやすいということ自体はとてもありがたいことだと考えています。ただ、それよりもおいしさをより重視したいのです。
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