キャベツの教え/見えぬところを見よう!

キャベツの苗の植え替えをしている。
農薬を使わずにキャベツを育てるための工夫は、種の時点からすでに始まっているが、種のことはまた別の機会にするとして、ここでは根について書いてみる。

キャベツの鉢上げ
浅い長方形の苗箱に、地域の資源を使って作る土を敷き、そこに種をまく。この土も極めて重要で、人間で言えば粗食の食事にあたる。幼い苗のときから肥料を与えると、メタボ体質が刻み込まれ、健全な生育にとって大きなリスクになる。人間も肥満体質の人は子どもの時からの人が多いのと同じだ。

キャベツの鉢上げ
芽が出て、ハート型の双葉が開く。キャベツは最初、上の写真ようにこんなに小さいが、このときがもうひとつの分かれ道だ。

いかにして健康で頑丈な根を育てるかに注意を注ぐ。なぜなら、根は消化吸収、排泄、免疫に関わるから、ここがしっかりしていなければ、健康には育たないからだ。見える部分(地上部に出ている葉の大きさ)だけにとらわれて、下手に肥料などを与えてしまうと、わざわざ根を伸ばさなくても養分を吸収できると判断し、根は伸びるのをやめ、軟弱になってしまう。これではクスリなしに厳しい外の世界(露地の畑)で生きていけない。

キャベツの根
上の写真は健康に育った苗の根がどういうものなのかを写したイメージ写真。地上部の体の何倍もの長さに育っていることがわかる。

ここで植え替えをすると、根が軽く傷つき、適度なストレスを受ける。キャベツはその傷を修復しようとして、より強い根を作り上げようとする。その結果、根の張りがよくなり、強健に育つのだ。

ホームセンターなどで売っている苗は、葉ばかりが大きく立派に見えるかもしれないが、それは肥満体質の可能性が高い。大きくなってから健康上のさまざまなリスクを負い、それが農薬(人間で言う薬)の使用につながる。

栽培の難しい専門的なことがわからなくても、生き物の共通部分が見えていればだいたいのことは把握できる一例だろう。

表層ばかりに囚われていては大事な部分を見失うよとキャベツの子どもが教えてくれる。

こういうことを、よりい週末有機農業塾では伝えていきたい。

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