有機栽培ネギの育て方(東京夏黒葱、石倉根深一本葱など)

有機栽培のネギ

冬の鍋物や夏の薬味に活躍する葱(ねぎ)。5世紀ごろ中国から日本に伝わったといわれ、その後、さまざまな種類の葱が日本の各地で生まれました。
井伊農場で育てているネギの栽培方法について説明します。

東京夏黒葱

(夏〜秋にかけて収穫)
耐暑性の強く、夏から秋にかけて収穫する一本ネギです。

石倉根深一本葱

(秋から冬にかけて収穫)
関東地方で栽培される一本ネギの代表的な品種といわれています。白くなる部分が30センチほどになり、寒さが増すにつれてその軟白部が甘くなっていきます。

 ネギの栽培方法

(1)種まき
①秋(9月上旬)まき
整地した露地に播種機のごんべえを使ってすじまきします。土の状態により、炭や堆肥を入れてから種まきしたり、事前に草や緑肥作物を育てたりして、ネギの苗が元気に大きくなるようにしておきます。
苗が20センチくらいの大きさに育ったら、一度、苗床から抜いて植え付け作業に入ります。

【秋まきの悩みポイント】
苗のときに冬の寒さにあたるため、春に植えたあと必ず葱坊主が出るので、それを取る作業が必要になるのが悩みどころです。

②春まき(2月下旬)
踏み込み温床で使った落ち葉を2~3年寝かせて作った腐葉土に赤土、自作の籾殻燻炭を混ぜて育苗土を配合します。その土をトレーに入れ、木の棒や竹などで条を切り、そこに種をまいて踏み込み温床の中に置き、発芽させます。

有機栽培ネギの育苗と苗づくり
芽が出たら、7~8センチくらいまで温床のなかで育ててから、畑で準備しておいた苗床に仮植えし、20センチくらいの大きさまで育てます。そのあとは秋まきと同じです。

【春まきの悩みポイント】
植え付け時期が田んぼや夏野菜の作業と重なるのが悩みどころです。

(2)ネギの植え方

有機栽培のネギ、葱の定植、植え付け
掘った溝に葱の苗を植え、炭、藁、米ぬか、刈った草を入れる。

秋まきは2月下旬から3月上旬、春まきは4月下旬から5月上旬頃に植えます。
小型の管理機などで溝を掘り、苗と苗の感覚(株間)3センチくらいで植えてから、溝に荒地再生炭焼きプロジェクトで焼いた自作の炭、田んぼで採れる稲わら、米ぬかを入れます。
植え付け場所の近くに草が生えていたら、それを刈って溝に入れることもあります。
生長するに従って少しずつ株元に土を寄せていき、軟白部分の長さを確保します。
夏ネギは8月頃、秋冬葱は10月頃から収穫開始です。

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ニンジン(春まき五寸、黒田五寸)

ニンジン筑摩野五寸

春まき五寸人参

(晩春から初夏に収穫)
初春に種をまき、晩春から初夏にかけて収穫する春人参。

黒田五寸

(早春から初夏、秋から冬に収穫)
日本の洋種系カロチンニンジンを代表する品種です。カロチン含量が多く、やわらかくて栄養価が高いニンジンです。

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ごぼう(滝野川ごぼう、大浦太ごぼう)

日本でしか食用されていないといわれる野菜。独特の歯ごたえは、野菜のなかでも含有量がトップクラスのイヌリン(炭水化物の一種)とセルロース(繊維質)によるもの。いずれも腸内をきれいに掃除する働きがあります。

滝野川ごぼう

江戸東京野菜のひとつで、長根ごぼうの代表的な品種です。江戸時代に滝野川村(現在の東京都北区滝野川)で改良・採種されたごぼうで、国内で栽培されるごぼうの9割以上はこの品種を親にして生まれたものです(※1)。

おいしい食べ方

煮物。
皮の近くにうまみとごぼう特有の香りがあるので、皮をむくというより包丁でこそげるくらいにしたほうがおいしくいただけます。

大浦太ごぼう

千葉県の大浦町原産のごぼう。長さは60センチほどと短くて太く、少しごつごつした外観をしていますが、繊維質が少ないためとても柔らかいごぼうです。

おいしい食べ方

柔らかさをいかした煮物。
大きいものは芯が空洞になるので、肉詰めなどにすることもできます。

●参考文献
※1:JA東京中央会 http://www.tokyo-ja.or.jp/edo/takinogawa.html
(2017年10月22日閲覧)

 

 

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非結球白菜(べか菜、山東菜)

べか菜
結球しない白菜の総称。白菜は明治期に中国から導入された外来野菜ですが、当時、日本では栽培技術的に結球させることが難しかったため、結球白菜より先に一般に周知されたのが、この非結球白菜の仲間といわれています(※1)。

べか菜

小松菜と並んで東京を代表する菜っ葉。山東菜を小さいうちに収穫するための野菜として改良したものです(「べか」とは小さいという意味)。波打った形で、新緑を感じさせる鮮やかな淡い色の葉が特徴的です。葉は白菜より柔らかく、白い茎の部分はシャキシャキとみずみずしいです。

おすすめの食べ方

サラダ、おひたし、炒め物、鍋物、煮物、漬物、汁物の具などいろいろと使えます。

山東菜

山東菜

中国の山東省からもたらされたといわれる野菜で、明治初年に日本に導入されました。大きく育てると中央部が結球するため、半結球白菜といわれることもあります。半分結球した大きいものは6kgを超えますが、一般に出回っているものは結球する前に収穫したもので、小松菜ほどの長さです。
この山東菜を小束収穫用に改良したものがべか菜です。

おすすめの食べ方

煮物、お浸し、炒め物、汁物の具、漬物など

●参考文献
※1:清水克志「大正期の日本におけるハクサイの普及過程 —需要の高まりと種子供給体制に着目して」秀明大

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カブ(大野紅かぶ、みやま小かぶ、金町小かぶ)

大野紅かぶカブは煮物、漬物、汁物の具など、古くから日本の食卓に根付いた野菜のひとつで、各地でさまざまな品種が育まれてきました。
当農場では以下のカブを栽培しています。

大野紅かぶ

北海道亀田郡大野町を中心とする地域で栽培されてきた赤かぶ。葉柄も美しい紅色をしているので、一緒に浅漬けにすると彩りがきれいに仕上がります。

おすすめの食べ方

浅漬け、ぬか漬け、煮ものも可(葉は煮食だとあまりおいしくない)

みやま小かぶ

金町小かぶと樋の口かぶを掛け合わせて生み出されたカブ。肉質が緻密で甘みがあり、生で食べても柔らかくて美味しいです。

おすすめの食べ方

サラダ、漬物、汁物の具、煮物(煮すぎるととろけるので注意)、和え物などいろいろ使えます。

金町小かぶ

江戸東京野菜に認定されているカブ。東京の金町(現在の葛飾区東金町あたり)で育てられた小かぶの品種といわれています。煮崩れしにくく煮物に向いています。

おすすめの食べ方

煮物、漬物、汁物の具

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小松菜(ごせき晩生、早生丸葉、新戒青菜)

現在の市場に出回っている小松菜のほとんどは、生産や流通などの事情により、中国野菜のチンゲンサイやターサイと交配させたものがほとんどで、小松菜本来の風味と食感は損なわれてしまっていると言われています。
当農場では、昔ながらの小松菜らしい風味とやわらかさを楽しんでいただきたいという想いから、以下の品種を栽培しています。

ごせき晩生小松菜

昭和25年から、小松菜発祥の地といわれる東京都江戸川区の後関種苗が作り上げた小松菜で、葉が大きくて厚いのが特徴です。江戸東京野菜に登録されています。

丸葉小松菜

昔ながらの小松菜の姿にもっとも近いといわれる品種で、丸くて大きい葉が特徴です。春も栽培できますが、秋にまいて冬に収穫したものがやはり味がいいです。

新戒青菜

(しんかいあおな)

群馬県のあるお寺で栽培されてきたという小松菜の新戒青菜(しんかいあおな)。葉は厚みがあって柔らかく、小松菜らしい風味に富んでいる。
新戒青菜(しんかいあおな)。

群馬県にあるお寺で代々、採種されてきたといわれる小松菜です。丸く肉厚で色の濃い葉は、お浸しや汁の具にするととてもおいしいです。

 

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大根(三浦、打木源助、こーちん)

大根の品種数は数百といわれ、地方ごとに特徴のある大根がありますが、スーパーでみかける大根はほとんどが青首大根。当農場では青首大根だけでなく、昔ながらの白首大根や、ちょっと変わったビタミン大根(こーちん)なども育てています。

三浦大根

収穫時期  秋から冬

肉質がつまっていてやわらかいため煮物に適しています。真ん中から下にかけて膨らみのある白首大根で、大きくなると長さが50センチにもなります。三浦半島特産の大根でしたが、三浦市農協のウェブサイトによると現在では栽培が激減し、三浦半島で栽培される大根の1%ほどにとどまっています。

打木源助大根

(うつぎげんすけだいこん)
加賀伝統野菜の打木源助大根

収穫時期  秋から冬

加賀伝統野菜のひとつ。長さ25センチほどのずんぐりとした体型の大根で、繊維質が少なくやわらかくて甘みがあり、大根らしい風味に富んでいます。金沢市生まれで、金沢市打木町の故・松本佐一郎が愛知県の井上源助が生み出した品種「源助総太」と、打木地区で栽培されていた練馬系の大根を掛け合わせ、年月をかけて固定選抜した大根です。

おすすめの食べ方

煮物、おでん、鍋物、大根ステーキなど加熱して食べるとこの大根らしさが味わえます。

【参考】
加賀野菜〜産地からのストーリー〜
源助大根・松本充明さん
http://www.kanazawa-kagayasai.com/kagayasai/gensukedaikon/

コーチン大根

(ビタミン大根)

収穫時期  秋から冬

ビタミン大根という別名があるとおり、ビタミンに富む大根で、歯切れがよく、特に大根おろしやサラダに向いているといわれています。長さは20センチほど。地面から出た部分は表面、芯ともにあざやかな緑色で地下に潜った部分は白く、その境がはっきりしています。

 

 

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栽培しているもの ー 在来野菜もいろいろ少しずつ

加賀伝統野菜の打木源助大根

当農場では季節に応じて在来種を含むさまざまな作物を栽培しています。

農業にはいろいろな経営の形があり、国内ではネギ農家、キャベツ農家といったように専門の作物を中心に栽培する農家が多いですが、当農場ではその季節にとれるさまざまな種類の露地野菜を少しずつ育てる少量多品目栽培をしています。

それは、無農薬栽培をする上で、場所を変えてさまざまな種類の野菜を育てる「輪作」や、複数の種類の野菜を混ぜて植える「混作」が重要な栽培技術であるためでもありますが、うちの農場と食べてくださる方の食事がつながっていて欲しい、その季節にとれる旬の作物で食卓をいろどって欲しいという想いが根底にあるのが大きな理由です。

栽培方法についての情報公開

春夏秋冬、それぞれの季節に畑をいろどる多様な味が食卓の豊かさにつながれば嬉しいです。

当農場の栽培作物

野菜、穀類(、麦、大豆)、香辛野菜を含めて年間約70品目の作物を育てています。
2022年からごくわずかですが、栗、レモン、枇杷、プラム、杏子、ポポー、ゆず、梅などの果樹や、ヘーゼルナッツ、アーモンド、ペーカンナッツなどのナッツ類の栽培を始めました。

葉もの類
小松菜非結球白菜(べか菜、山東菜)、からし菜、わさび菜、チンゲンサイ、春菊、キャベツ、サニーレタス、半結球レタス、球レタス、ほうれん草、水菜

花蕾類(つぼみを食べるもの)
ブロッコリー、のらぼう菜、紅菜苔、菜ばな、かき菜、

根菜類
大根カブ人参、ジャガイモ、ラッキョウ(エシャレット)など

豆、麦など
さやいんげん、実えんどう(グリーンピース)、そら豆、六条大麦(麦茶用大麦)など

果菜類
トマト、キュウリナス、ピーマン、シシトウ、在来青ナス、カボチャ、にがうり(ゴーヤ)、オクラ、パパイヤ

葉もの類
空芯菜(エンサイ)、ツルムラサキ、ネギ

豆類、穀類
枝豆、ゴマ

香辛野菜など
シソ、葉生姜、唐辛子、シソ、エゴマ(葉)、レモングラス、パクチー、バジル、ミントなど

秋から冬

根菜類
里芋、大根カブ山芋ごぼう人参、玉ねぎ、ニンニク、生姜、ラディッシュ、サツマイモ

葉もの類
キャベツ、白菜、ネギ小松菜、ちぢみ菜、ホウレンソウ、非結球白菜(べか菜、山東菜)、春菊、からし菜、ターサイ、チンゲンサイ、水菜、サニーレタス、半結球レタス、球レタス、ニラ、わさび菜

花蕾類
ブロッコリー、カリフラワー

香りもの
根生姜、にんにく、ルッコラ

穀類
大豆

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