そこにあるものを楽しめる感覚 よりい週末有機農業塾
よりい週末有機農業塾で、寄居町末野のあたかファームさんを見学した。テーマは「農ある暮らし」。普段は勤めに出ていて、家族が食べる分を家族で育て、里山暮らしを楽しんでいる安宅(あたか)さんご家族の暮らしを学ぶ時間だ。
ご夫婦ともに、そこにあるものを上手に活用して暮らしを作り上げている。
畑仕事の中心を担う安宅一博さんは、里地里山から生まれる落ち葉、わら、籾殻などをすくい上げ、畑に還すことで野菜を育てる。
「家族が食べる分なので、何より安全とおいしさにこだわっています」
という信念が、野菜を育てる堆肥も自作するという行動につながっている。トレーサビリティや規格などとは次元の違う、本当の安心安全とはこういうものだなと思う。
子どもたちとの畑仕事の時間も大切にしている。それは子どもたちにとって、食べ物とは何なのかを自分の体で学ぶ時間だ。
例えば冬にスーパーに行くと、子どもたちが自分のうちの畑にはないトマトが並んでいるのを見て不思議に感じるようになったという。
それを聞いた参加者からも
「これぞ本当の食育ですね!」
という声が出た。
「畑から生まれるもので捨てるものは何もない」
と言う妻の安宅りえさんは、その言葉通り、畑で取れるものを余すことなく使い、日常のおかず作りはもちろんのこと、材料から自家製の七味唐辛子(しかも使う料理に合わせて4種類の違う配合をしている!)や野菜ふりかけ、トマトケチャップ、ドレッシング、豆腐なども生み出す。
捨てること自体が好きではないりえさんの手仕事は、食べるものにとどまらない。身近なところで取れる蔓で籠を編んだり、布でスリッパをつくったり。多忙な毎日のなかで時間を見つけては、ご自身のインスタグラムで発信しているように「小さな嬉しいや楽しいを発見」している。
ご夫婦とその子どもたちに共通しているのは、目の前にある暮らし、そこにあるものを楽しむ姿勢だ。それは「田舎には何もない」と卑下する態度とはまさに対極にある。
大きなくぬぎの木にロープを吊るしてブランコをつくったり、自宅のすぐそばの湖でカヌー遊びをしたりする姿勢は、
「近くにあるもの、近くで取れるものを使って作物を生み出す」
という、有機農業の根本部分にも通じる暮らしを作り上げていて、自然とこちらも嬉しくなる。
それを、理屈ではなく、気張ることもせず、心から楽しんでいる様子があたかファームの一番の魅力だし、それを実現できる潜在的な力がこの地域にあることを静かに物語っているようだった。
しゃれたお店がある地域を見て
「この町にはポテンシャルがある」
などと薄く評するのではなく、地域の真の潜在能力とは何なのか、もっと自分の足元にあるものにきちんと目を向けて、それらを毎日の暮らしにすくい取れるような感覚を養っていきたい👍
あたかファームモデルを地域に広めよう👍👍
参加者のみなさんにとっても、自分の暮らしを見つめ直すひとつのきっかけになったとしたら嬉しいし、安宅さんも喜ぶはずだ。
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