やってられない!(今日の名言)
今日はよりい週末有機農業塾。農産物直売所での秋の出荷体験をやった。出荷品目は、かぶ、ねぎ、白菜。
カブは枯れた葉を取り、洗って土を落とし、大きさを揃え、出荷規格にあわせて袋詰めする。葉が折れないように注意し、鮮度が落ちないように袋にテープで封をする。
慣れないと1バック仕上げるのに結構時間がかかる。
仕事でやる場合は、これを100パックとか作ることを伝えると、いつもはおとなしい参加者の一人のZさんが
「やってられない!」
と、大きめに心の声を言葉にしたのだ。おれは思わずデカい声で笑ってしまった。現場が芯まで伝わったのが痛快だったからだ。
だめ押し🤯とばかりにスーパーのチラシを見せる。
「いいものを、より安く!」
というキャッチコピーが踊り、白菜1/2カットが98円で売られている。白菜は自分たちで種をまき、苗を育てて、それを植えて育てている。収穫までに約3か月かかったが、とてもよくできて、中心に近い部分は
「生でそのままむしゃむしゃ食べられる!」
「甘くて美味しい!」
と大好評。
出荷体験の事前課題(宿題)として、出荷品目のPRポイントを言葉にしてきてもらったのだが、都合が悪くて今回、参加できなかったQさんが
「売り文句を考えたので使ってください!」
と、LINEで送ってきてくれたもののうち、白菜のPR(以下)がやたらアツ🔥かったのも、白菜のうまさをよく物語っている。
🔥🔥🔥
○朝どれ白菜。生でいける!
○調味料がいらない。
○そのままのうまみがクセになる!
→なにもつけなくてもおいしい
鍋も可能性を感じるが、そのまま食べるよりおいしい食べ方はあるのかと思うような味だった。
白菜に感動したので!それを伝えれたら!
🔥🔥🔥
それなのに、こんなにおいしいのに、1/2カット98円である。ここから経費を引いたものが、栽培者の利益である。栽培のしかたにもよるので推測に過ぎないが、40~50円くらいだろうか。
いいものが、より安くなったら、一生懸命頑張っていいものを産み出そうとする意欲はなくなる。「やってられない!」から品質も次第に落ちていく。
小売店も薄利多売になり、買う方も安いけどおいしくない。産業としての農業の魅力は薄れ、その先にあるのが技能実習生問題である。
この構造はいったい誰が得をするのだろうかと右往左往する。
直売所に行き、実際の販売価格を見る。1.5kgくらいありそうなデカイ大根が100円。大根は重いので、何本も収穫して出荷するのは楽ではない。
「なんか、今までと見かたが変わっちゃいますよね…」
という声が漏れたのが印象的だった。
同じ物事でも、どこから見るかで見えるものや見えかたが全然違ってくる。だから、現場を知らない一方通行の視点で
自給率向上👍
オーガニックいいね👍️👍
地産地消👍️👍👍
などと吠えても、何も変わらないどころから雲散霧消するだけだろう。
農業塾の畑に戻り、オンラインで売り上げをチェックし、まだひとつも売れていないことをみなさんに告げる。
「やってられないよね!」
Zさんの顔を見ながら、みんなで笑う。
笑ってはいるが、きっと、みなさんの心の中では、小さな何かが蠢(うごめ)くように変わってきているだろう。
そう信じて、来週もよりい週末有機農業塾に向かおうと思う。
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